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その不思議な力は一度だけ〖絵本〗うきわねこ



うきわねこ表紙
うきわねこ
作:蜂飼耳 
絵:牧野千穂
出版社: ブロンズ新社


うきわねこ1

『うきわねこ』あらすじ


日曜日のお昼、お昼ごはんを食べていたえびおの家に宅配便が届きました。
今日はえびおの誕生日。
おじいちゃんからプレゼントが届いたのです。
包みを開けると、出てきたものは浮き輪でした。
お父さんとお母さんは、プレゼントが浮き輪なんて変だと言います。
この町には海もなければ川もプールもないのです。

えびおは包みの中に手紙を見つけました。
お父さんとお母さんの知らないうちにえびおは手紙をポケットに入れて、後でこっそり読みました。
手紙にはこう書いてあります。
「えびおくん、お誕生日おめでとう。これは特別な浮き輪です。次の満月の夜を楽しみにしていてください。それまでは大事にしまっておいてください」

次の日さっそく浮き輪を膨らませてみたえびおは、穴のところに体を通してみると心がウキウキしてきました。
でもお友達に見つかって、「ぼくにも貸して」と言われたので、えびおは次の満月の夜までは隠しておこうと空気を抜いて畳んでおきました。
えびおは毎晩毎晩、窓から空の月を眺めました。
そのうち細かった月はだんだん膨らんで、とうとうまん丸になりました。

待ちに待った満月の夜、えびおはお父さんとお母さんがぐっすり眠るまでずっと目をらんらんとさせて起きていました。
タンスから浮き輪を取り出して、空気をどんどん入れます。
そしてパンパンに膨らんだ浮き輪に体を通して、ベランダに出ました。

そのときです。
両足がぶらんと宙に浮いたのです。
びっくりしてえびおの心臓は跳び出しそうになりました。
浮き輪は上へ上へ、まるで月に引き寄せられるかのようにゆっくりと飛んでいきます。

するとどこからかえびおを呼ぶ声がしました。
えびおのすぐそばを別の浮き輪が飛んでいます。
乗っているのは何と、おじいちゃんではありませんか。
「ちゃんと手紙を読めたんだね。よく来たね」
おじいちゃんはニコニコ笑って言いました。
2人の足元のずっと下に、夜の街が光っています。
空の上で翼のある恐竜やヘリコプターとすれ違ったりしながら、2人はどんどん飛んでいきました。

「海だ!」
浮き輪は夜の海に下りて浮かぶと、おじいちゃんは釣りを始めました。
釣れたのは見たこともないほど大きな魚です。
2人は魚を浜へ引っぱり上げると焚火の準備をして、自分たちよりも大きな魚をあぶりました。
そして波の音楽を聞きながら、頭からしっぽまで美味しく食べました。

「えびお、今晩のことはずうっと忘れないでいるんだよ。大きくなっても忘れないでね」
おじいちゃんに言われてえびおは「忘れないよ、またここに来たいな」と言いました。
するとおじいちゃんは声をひそめます。
「この浮き輪は明日から普通の浮き輪になってしまうよ。一度しか飛べないんだ。今夜のことは内緒だよ。誰も知らない秘密の散歩だからね」
えびおはおじいちゃんの言いたいことが何となくわかる気がしました。
えびおはおじいちゃんと空の上で別れると、浮き輪に揺られて家へ向かいました。
帰り道は浮き輪がちゃんと知っていました。

少しずつ朝が近づいています。
家のベランダに下りると、浮き輪は自然にしぼみました。
浮き輪を丁寧にたたんで箱にしまうと、えびおはとても幸せな気持ちでベッドに潜りこみました。
空を吹き渡る風や、初めて見た海や、美味しかった魚のことを思い出しているうちに、いつの間にか眠りました。

うきわねこ2

『うきわねこ』感想


おかかのおにぎりを食べている最初のページからかわいい猫ちゃんに和みました。
人間に飼われている猫なのか、もう全てが猫の世界なのか、家や家具が人間の世界なので不思議な感覚です。お父さんもお母さんも顔出しはしないので最後までわからなかったけど、きっと猫だけの世界なのかな?
人間に当てはめてみてもしっくりくるけど、猫だからかわいい!子猫が浮き輪をすっぽりとかぶり、ぷかぷかと空を飛んでいく絵がとってもかわいかったです。
とっても癒されていたのに、不覚にもじわっと涙が出てくるシーンがありました。おじいちゃんと不思議な体験をし、「このことをずうっと忘れないでね」とおじいちゃんが言ったところ。おじいちゃんと孫の関係、秘密の共有、えびおが何となくわかったことを文章にするのではなく、読み手に心で感じさせるところがにくいなと思いました。それを言っているおじいちゃんのドアップのイラストに、色々と感じたり思い出すものがあるのです。えびおは家に帰ったけれど、おじいちゃんはどこに帰ったのだろう。読んだ後の余韻が切なかったです。

うきわねこ3

なんで浮き輪??


浮き輪猫。うきわ?ねこ?全くお話の想像がつかなかっただけに、ほろっとさせられる展開に驚きました。
おじいちゃんからの誕生日プレゼント、思いもよらない浮き輪をもらった猫のえびおが体験するファンタジーです。二足歩行で歩く猫、階段に腰かける猫、ベッドで仰向けに布団をかけて眠る猫、擬人化した猫がかわいくて不思議です。
満月の夜に浮き輪を使ったら、体が宙に浮き、月に向かって飛んでいった。そしておじいちゃんと秘密の散歩。なんて素敵なんでしょう。でも、その浮き輪はたった一回しか飛ぶことができない、それは今夜だけ。美しくも儚いお話でした。
ふわふわした空中散歩、おじいちゃんとの楽しい思い出、その記憶に浸りながら幸せに眠るえびおがかわいい。お話はここで終わっているのでほっと優しい気持ちになれます。でも…、おじいちゃんとはきっともう会えないのかなぁなんて、切なくもなるのでした。
それにしても絵がとても愛らしいです。おじいちゃんとの心躍る素敵な思い出、ずっと手元に置いておきたい一冊です。

ページ数:31ページ
読み聞かせ時間:8分



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