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本当にあったような幻想的な昔話〖絵本〗さくらいろのりゅう



さくらいろのりゅう表紙
さくらいろのりゅう
作・絵:町田尚子
出版社: アリス館


さくらいろのりゅう1

『さくらいろのりゅう』あらすじ


昔々あるところに1人の娘がいました。
役に立たない小石のようだと、村人たちから“コイシ”と呼ばれ、いつもひとりぼっちでした。

ある日コイシは山へ出かけ、奥へ奥へと歩いていくときれいな泉がありました。
コイシが水面をのぞき込んだそのとき…
泉から竜が現れたのです。

全身青色をした竜にコイシは目を丸くしました。
「なんてきれいなりゅう!」
そう言うと、コイシは竜の鼻先をそっと撫でました。
竜も目を丸くしてコイシを見つめています。

それからというもの、コイシは毎日山の泉に行きました。
「りゅう、りゅう」
コイシが呼ぶと、竜は姿を現すのです。
コイシはもうひとりぼっちではありませんでした。

ある日コイシは浜辺で拾った桜色の貝を竜にあげました。
すると竜も、自分のうろこを取ってコイシに差し出しました。
竜の青いうろこと桜色の貝はとてもよく似ていました。

その日の帰り道、コイシが手に持っていた竜のうろこが村の男に見つかって問いただされます。
竜の話を不審に思った男を、コイシは山の泉へと連れていき、竜を呼びました。
泉から現れた竜に「本物の竜だ!」と男は声を上げました。

その夜、男は仲間を集めて計画を練りました。
コイシを使ってたくさんの桜色の貝と竜のうろこを交換し、高く売ろうというのです。

次の日男たちは浜辺でたくさんの貝を拾い集め、嫌がるコイシを連れて泉へとやってきました。
コイシは竜を呼ぶことを嫌がりました。
「呼ばないとひどい目に遭わせるぞ!」という男たちにコイシがぎゅっと口を閉じたとき、泉から自ら竜が現れたのです。
男たちは震えながらも「俺たちにも竜のうろこをくれ!」と集めた貝を竜に投げつけました。
心配そうなコイシを見て、竜はゆっくりとまばたきをすると、男たちに向かってうろこを放り始めました。
「もっとだ!一枚残らず全部くれ!」
男たちはたくさんのうろこを手に入れると、山を去っていきました。

竜の体にうろこは一枚も残っていません。
コイシが呼びかけても、竜は目を閉じたまま動きませんでした。
コイシは足元に散らばる桜色の貝を竜の体に乗せてみるとすうっと吸い付きました。
コイシは夢中で貝を乗せていき、竜の体は全身桜色の貝で覆われました。

「りゅう、りゅう」
すると竜の体が光り始め、静かに目を開けたのです。
「なんてきれいな桜色のりゅう」
コイシが竜の鼻先をそっと撫でると、竜もゆっくりとまばたきをしてコイシに背を向け、振り返ってコイシをじっと見つめました。
「乗るの?」
コイシが聞くと、ゆっくりとまばたきをする竜。
コイシが竜にまたがると、竜は天に向かって真っすぐに上っていきました。
そして桜色に染まった東の空に消えていきました。

その後、竜がいた山の泉は枯れてしまったということです。

さくらいろのりゅう2

『さくらいろのりゅう』感想


ぞくぞくする絵本でした。絵本が縦長の大判サイズで、見開き2ページで1枚の絵が描かれています。
コイシが泉をのぞき込む様子、待ち構えていたかのように水面に迫ってくる竜が迫力の画力です。
大人の嫌な部分も存分に描かれているし、コソコソした秘密の儲け話も暗闇の天井から覗いているような視点がとっても怖かったです。
なぜ竜はひとつ残らずうろこを落としてしまったのだろう、汚い男たちとわかっていながら…。竜という存在が架空なので、怖さも儚さも美しさもあってファンタジーな異世界と画力が素晴らしい絵本でした。
そしてコイシは?竜は?どうなってしまったんだろう…。泣きたくなるような結末ですが、美しいです。

さくらいろのりゅう3

絵本の世界にタイムスリップ


とてもきれいな色使いでありながら、迫力のある表紙です。
ひとりぼっちで寂しげなコイシと、きれいな青色のうろこを身にまとっていながら迫力のある竜が対照的に見えますが、実はとっても似たもの同士。竜だってずっと孤独だったでしょうから…。
そんなコイシと竜はひと目合ったときから心を通わせかけがえのない存在となり友情を育むのですが、そこへ欲深い人間が係わってきます。コイシと竜はどうなってしまうのか。欲深い人間には報いを、結果として男たちには何かがはね返ってきたのかというと、そうではありません。いや、描かれてはいませんがきっと報いはあったのでしょう。そう思いたいです。
竜は自ら犠牲になり、コイシと一緒に旅立ってしまいました。きっとそこが幸せの世界だったらいいなと思います。とても切ない余韻の残る絵本です。
この絵本はストーリーだけでなく町田尚子さんの描く大迫力の絵も大きな魅力。上から下から遠くから至近距離から…、大きな15枚の絵を見ているだけでもこの絵本の世界にタイムスリップしたように心を掴まれてしまいます。そして町田さんといえばやっぱりの『ねこ』がおまけとして登場し、心を和ませてくれました。

ページ数:32ページ
読み聞かせ時間:6分

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