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お母さんからの言付と誕生日の奇跡〖絵本〗ふゆねこ



ふゆねこ表紙
ふゆねこ
作:かんのゆうこ
絵:こみねゆら
出版社: 講談社


ふゆねこ1

『ふゆねこ』あらすじ


秋も終わり、冬の冷たい風があたりに吹き始めたころ、ちさとのお母さんが亡くなりました。
お父さんは、「お母さんはお星さまになったんだよ」と言いました。
けれどちさとが毎日どんなに夜空の星を探しても、お母さんは見つけられませんでした。

そんなある日、まるで雪のように真っ白な猫がちさとの家を訪ねてきました。
白い猫は「ふゆねこ」と名乗り、ちさとのお母さんに頼まれてやってきたと言うのです。
ちさとはホットミルクをふゆねこに出してあげました。
ふゆねこは美味しそうにホットミルクを飲み干すと、ここへ来たわけを話し始めます。

ちさとのお母さんは、今年の冬に間に合うようにちさとの手袋を編んでいました。
でも完成まであと少しというところで<ひかりの国>へ旅立ってしまいました。
お母さんはそのことがとても気がかりで、ふゆねこに最後の部分を編み上げてきてほしいと頼んだのです。
それを聞いて、ちさとは思い出しました。
お母さんが編んでいた手袋は、今ふゆねこがしているマフラーとそっくりの桃色の手袋でした。

ちさとがお母さんの部屋から編み物のカゴを持ってくると、ふゆねこは早速手袋を編み始めました。
細くて柔らかな桃色の毛糸は、ふゆねこの手の中でみるみるうちに形になっていきます。
ふゆねこは長くて寒い冬の間、いろんなものを温めるのが仕事なので、編み物がとても上手でした。
手袋が編み上がると、かぎ針を使ってくさり編みのひもを作り、両方の手袋をつなぎ合わせました。
ちさとは前に一度、手袋を片方失くして泣きながら帰ってきたことがあったので、最後に手袋をくさり編みのひもでつなぐことだけは絶対に忘れないでとふゆねこはお母さんに言われてきたのです。
ちさとはあの時手袋を失くしてからお母さんがすぐに新しい手袋を編んでくれて、そのときもこんなふうにくさり編みでつないでくれたことを思い出しました。
ちさとは出来上がった手袋をはめてそっと頬にあててみると、まるでお母さんに抱きしめてもらっているような温かな気持ちになるのでした。
ふゆねこはそれを見て満足そうにうなずくと、編み棒をきちんと片付け、桃色のマフラーをきれいに巻き直し帰っていきました。
ふゆねこは静かに降る雪の中へ吸い込まれるように消えていきました。

それから何日か過ぎ、ちさとの誕生日がやってきました。
お母さんのいない初めての誕生日、ちさとの心はぽつん…と沈んだままでした。
そのとき玄関のチャイムが鳴って、ふたの付いたカゴを持っておじいちゃんとおばあちゃんが訪ねてきました。
「お誕生日おめでとう。今日はお母さんからのプレゼントを届けにきたよ」と言うので、「だって、お母さんは…」とちさとが言いかけたとき、カゴの中から白い猫がふわりと飛び出してきたのです。
ちさとは前から猫を飼いたがっていました。
お母さんはどこからかこの白い猫を拾ってくると、誕生日まで日にちがあったのでおばあちゃんの家でこっそり預かっていたのでした。
白い猫をよく見ると、桃色の毛糸で編まれた首輪をしています。
「私の手袋とおそろいね」
ちさとはにっこりほほ笑むと、足元にすり寄ってきた猫を抱き上げて、両手でそっと抱きしめました。

ふゆねこ2

『ふゆねこ』感想


冒頭から暗く寂しい感じで始まるので、最初はちょっとびっくりしてしまいました。ひんやりとした冬の冷たい風のように、ちさとの心の中もお母さんが亡くなってしまった寂しさで埋めつくされていたんですね。そんなとき現れたふゆねこは、猫なのに立ってるしマフラー巻いてるし、これはちさとの夢なのかなぁ?夢じゃないよ、だって手袋の毛糸とマフラーの毛糸が一緒だもん!と子供と読み進めていきました。編み棒を上手に動かして手袋を編んでいるふゆねこの顔が、ちさとを想う母の表情をしています。だけどお母さんのことを思い出すちさとの顔はやっぱりとても寂しそうで、胸が痛くなりました。ふゆねこは帰ってしまったし…。
だけど、おじいちゃんとおばあちゃんがふたの付いたカゴを持ってやってきたのを見て私はピンときました!中に何が入っているのかを。お母さんみたいなふゆねこに愛情をもらい、赤ちゃんみたいな白猫にこれから愛情をかけていくんだなぁと。やっぱり夢じゃなかったね!と温かい気持ちになりました。

ふゆねこ3

ふゆねこは……お母さん?!


『ふゆねこ』は「四季ねこえほん」シリーズ第一作目になります。この後、春・夏・秋と続き、作者はかんのゆうこさん、イラストは季節ごとに違う方が担当しているようです。
『ふゆねこ』の表紙にあるような、グレーがかった色調のままお話は進んでいきます。お母さんを亡くしてしまったちさとの寂しさがとてもよく絵に表れています。それでもふゆねこがやってきてからは、お母さんのことを思い出したりお母さんからの愛を感じたり、そうしてちさとの心はちょっとずつ温かくなっていきます。そして奇跡まで起こったんですから!
ちさとのお母さんが亡くなってしまった事実は変えられないけど、ちさとにはお母さんからの愛と、お父さんとおじいちゃんとおばあちゃんに包まれているという温かな余韻が残ります。

ページ数:32ページ
読み聞かせ時間:8分

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