はるさく絵本~毎日すくすく成長中~

春になるたび会いにいくよ〖絵本〗やまねこのおはなし



やまねこのおはなし表紙
やまねこのおはなし
作:どいかや 
絵:きくちちき 
出版社: イースト・プレス


やまねこのおはなし1

『やまねこのおはなし』あらすじ


家族もなくひとり気ままに山奥に住む山猫がいました。
山猫は山の恵みを採って食べては、お返しに歌を歌い踊りを踊ってのんきに暮らしています。

ある日のこと、急に知らない世界が見たくなった山猫は町に出ようと出かけました。
季節は春。
風に舞っていたタンポポの綿毛が、山猫の体にたくさんくっつきました。
「これでは種の役目が果たせない」と思った山猫は、体についたタンポポの綿毛をお日様がたっぷり当たるいい土の上に置いてやりました。

半日くらい歩いてだいぶ町に近づいたころ、前の方に何か白いものが横たわっていました。
よく見ると子猫です。
母猫はいなく、元気もありません。
カラスに食べられてはいけないと、山猫は子猫を抱いて山に帰ることにしました。

家に着くと、山猫は子猫に果物を与えました。
次の日にはすっかり元気になった子猫ですが、このまま山猫のそばで、果物を食べたり遊んだりしながら過ごしました。
子猫はすっかり大きくなり、美しい白猫に成長しました。
山猫はそれまでもひとりで楽しく暮らしていましたが、白猫が一緒にいるともっとずっと楽しく思えました。
ただひとつ気になること、白猫の美しい白い毛が日に日に黄色くなっているのです。

季節は春。
白猫と出会ってちょうど一年が過ぎたころ、白猫はすっかり黄色い猫になっていました。
そして、「私は本当は猫ではなく、あのときあなたの体に付いたタンポポの綿毛の兄弟です」と言うのです。
あの日町に行っていたら、山猫は人間の罠にかかって食べられてしまうところでした。
あの日、とてもいい土の上にタンポポの綿毛を置いてくれた山猫を、山の神様が助けたのでした。
山猫はいつも歌や踊りで山の仲間を楽しませていましたから。
そして黄色くなった白猫は、「毎年あなたに会いに来ます」と言って、一輪のタンポポになりました。
気が付くと、山猫の家の周りは黄色いタンポポでいっぱいです。

次の年もまた次の年も、毎年春になると、あの白猫が山猫の家の周りをタンポポの花でいっぱいにしてくれます。
だから、山猫は寂しくありません。
山猫は今でも歌ったり踊ったりしながらのんきに暮らしているのです。

…と、タンポポ畑に囲まれた家に住む一匹の年取った山猫が語りました。

やまねこのおはなし2

『やまねこのおはなし』感想


黄色い猫の正体、なるほどそういうことか!うん、いいお話。だけどちょっと寂しい。
ひとりでも気ままに暮らしていたけど相棒ができて、なんだか楽しくなってきて、そして突然のお別れ。
ざっくりとしたイラストなので山猫の寂しさとか、細かく描かれているわけではなくどこかひょうひょうとしているけど、ざっくりと描かれた一面の黄色いタンポポが何だか泣けます。
きっと山猫はタンポポが咲くたびに白猫との楽しかった日々を思い巡らすんだろうなって思ったら、幸せなんだけどやっぱり寂しいなって思いました。人間だからかな、猫はそんなことないのかもしれないですね。年取るまでたくましく生きたのだから。

やまねこのおはなし3

楽しい日々は儚くても、思い出はずっと…


山奥に住む山猫は山の恵みをいただくお礼として、歌や踊りで山の仲間たちを楽しませています。
そんな生活が成り立っていましたが、ある日町に行きたいと思うようになりました。道中たまたま体にくっついたタンポポの綿毛を、日当たりのいい土に置いてやります。そして力なく横たわっていた子猫をも助けました。それは山猫にとっては普通のことで、私欲のない純粋な優しさからの行動でした。それを山の神様が見ていたのです。タンポポを助け、自身の危機をタンポポに助けられました。
タンポポはなぜすぐ正体を明かさなかったのだろう。なぜ一年間山猫と暮らし続けたのだろう。できればずっと、一緒に居てほしかった。けれども正体を明かす時がやってくるのです。
それでも山猫は寂しいと思ったことはなく、ずっとのん気に暮らし続けているのです…。
…と、光の速さで山猫は年を取っていて、タンポポに囲まれています。そう、これは年老いた山猫が語るお話。だからこそ心にぐっと来るものがあります。
絵本は黄色の彩色が多く、幸せと切なさの読了感があふれました。

ページ数:32ページ 
読み聞かせ時間:5分



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